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高山秀三税理士事務所 Certified Public Tax Accountant Office

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相続開始から申告・納税までの日程

 相続の開始(死亡)から相続税の申告、納税までの主なスケジュールは次のとおりです。

死亡届の提出:(7日以内)

  被相続人の死亡後7日以内に死亡診断書を添えて市区町村長に提出します。

社会保険事務所への届出:(10日以内)

  年金受給者が死亡したときは、次の書類を添えて原則として10日以内に届け出ます。死亡後も継続して受け取っていると後日返還を求められることになり面倒になります。

 年金受給者死亡届 年金証書 除籍戸籍謄本 死亡診断書

遺言書の検認:(発見後速やかに)

 公正証書遺言以外の遺言書が発見されたときは、速やかに家庭裁判所に持参して検認を受けます。封印のある遺言書は家庭裁判所において相続人立会いの下に開封することになっています。検認を受けないで開封したり、執行した場合には罰則(科料)が適用されることがあります。又、遺言書を隠匿したり、破棄した場合には相続欠格となり、相続人としての資格を失い、まったく財産を相続できないこととなりますからご注意ください。

相続の放棄と限定承認:(3ヶ月以内)

 相続の放棄をすると、最初から相続人でなかったことになりますので、その人の子などが代わって相続する(代襲相続人になること)こともできなくなります。相続放棄は、放棄する相続人だけの単独の意思でできます。

 限定承認とは相続で取得した財産の範囲内で被相続人の債務を負担するという制度です。相続人全員ですることが必要です。

 放棄も限定承認も相続開始の日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出ます。

所得税の確定申告:(4ヶ月以内)

  1月1日から死亡日までの所得金額を計算して相続開始の日から4ヶ月以内に申告と納税をします。この申告は準確定申告といい、相続人全員が署名押印した付表を添付して行います。相続税の計算上、納付した税額は債務に、還付される税額は相続財産に加算します。

遺産分割協議書の作成:(10ヶ月以内)

  遺言書がない場合には、相続開始の翌日から10ヶ月以内の申告期限までに相続人全員で話し合って遺産分けを行います。いつまでに分割しなければならないという期限はありませんが、遺産分けが申告期限までにできないときは、民法の法定相続分に従って相続したものとして申告と納税をしますが、次の計算等が適用できないので不利となります。

  • 配偶者に対する配偶者の税額の軽減
  • 小規模宅地等の課税価格の計算の特例
  • 特定同族会社株式等の10%評価減の特例
  • 特定山林等の5%評価減の特例 

  ただし、3年以内に分割する見込みである旨の申出書を提出し、分割が整った後、4ヶ月以内に手続きをすれば適用できます。この場合でも申告期限には一旦納税しなければならないので資金手当てが必要になるなど、不利のことが多いので、できるだけ申告期限までに分割するよう相続人間で協力することが大切です。

相続税の申告と納税:(10ヶ月以内)

  相続開始の日の翌日から10ヶ月以内に、被相続人の住所地の税務署に、相続人全員が連署して申告し、納税します。(相続人の所轄税務署ではありません。) 

相続財産の名義変更:

  前記の遺産分割協議が整ったときは、いつでも変更することができます。(遺言書があり遺言書どおりに相続するときも同じです。)

 

    

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相続税のあらまし

 <相続税の申告義務のある人>

  正味遺産額(次掲)が、相続税の基礎控除額(次掲)を超えるとき、相続 や遺贈(遺言)で財産を取得した人は 相続税の申告義務があります。(小規模宅地の課税価格の計算の特例(別途記述)等を適用することによって基礎控除以下になるときは、申告義務があります。(小規模宅地等の特例は申告が要件です。)

  ただし、配偶者の税額の軽減(後述)以外の税額控除を差し引いた結果、納付すべき税額がない人には申告義務はありません。

<正味遺産額>

   正味遺産額は次の合計額です。

  • + 相続開始時(死亡時)の遺産額
  • + みなし相続財産(生命保険金・死亡退職金など)
  • 非課税財産(墓地・仏壇等)
  • 相続時精算課税を選択した贈与財産
  • 債務・葬儀費用
  • 相続開始前3年以内の被相続人からの暦年課税の贈与財産

<相続税の基礎控除額>

   5000万円+1000万円×法定相続人の数(※)

   算式中の法定相続人の数は、次の点で民法の取扱いと異なっています。

  1. 相続の放棄があった場合は、放棄はなかったものとする。
  2. 養子は、被相続人に実子があるときは1人、実子がないときは2人までに制限される。
  3. 次の者は実子とみなされる。
  • 特別養子縁組による養子
  • 被相続人の配偶者の実子(連れ子)で被相続人の養子となった者
  • 子、孫等の直系卑属が被相続人より先に死亡したために相続人となったその死亡した者の直系卑属

<配偶者の税額軽減(配偶者控除)>

   配偶者が取得した財産に対する税額から、次の(1)と(2)のいずれか多い税額が控除されます。ただし、配偶者が次の法定相続分又は1億6000万円までの財産を取得しないときは、相続財産に占める配偶者の相続した財産の割合が限度となります。

  • (1)相続財産に占める配偶者の法定相続分の割合に相当する税額
  • (2)相続財産に占める1億6000万円の割合に相当する税額

 いいかえれば、配偶者には配偶者の法定相続分に相当する財産を取得しても相続税はかかりません。又、法定相続分に相当する財産が1億6000万円に満たないときは1億6000万円までの財産を取得しても相続税はかかりません。

  • 注1.配偶者の税額軽減が受けられるのは、遺産分割協議済みの財産に限られます。
  • 注2.配偶者の法定相続分は、相続を放棄した者があっても放棄がなかったものとした場合の法定相続分です。
  • 注3.配偶者の税額軽減を受けるには申告必要です。
  • 注4.配偶者の法定相続分は次のとおりです。

    ①相続人が配偶者と子供のとき・・・1/2 

    ②相続人が配偶者と尊属のとき・・・2/3

    ③相続人が配偶者と兄弟姉妹のとき・・・3/4

    ④相続人が配偶者のみのとき・・・1/1 (その結果、課税されない)

 

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家族名義問答(失敗事例)

izd03202@nifty.com

A子:先生、一昨年お友達の父が亡くなり、つい先日相続税の申告に対する税務署の調受けたそうです。そのとき おばさんやお友達、お友達の子供名義にしてあった銀行預金や郵便貯金、保険の契約まで調べられ、それらは相続財産になるとして修正申告をさせられたそうです。お友達などは自分が過去にもらったものと思い込んでおり、相続税の申告に含めることなど思いもよらなかったといいます。中には20年近くも前に作られた預貯金もあったそうですが、時効ということはないのでしょうか?

先生:A子さん、相続税の税務調査を受けたケースの内、毎年90%前後のケースが何らかの財産漏れが指摘されていますが、その大きな原因が家族名義の財産にあるのです。まず、相続税はどういう財産にかかると思いますか?

A子:亡くなった人の 亡くなったときの財産だと思いますが・・・。

先生:そのとおりですね。それでは亡くなった人の財産とは何かを考えて見ましょう。今A子さんのお友達の例のように、亡くなった人の財産を、生前に親族などに名義に変えてしまった財産に相続税がかからないとすれば、誰もがそうしますよね。そうすれば相続税法の存在意味がなくなるでしょう。又、そうした人としない人との間に不公平が生じますよね。

A子:それはわかりますが 20年も前に名義を変えたものまで課税されるのですか?確か時効は7年とか聞いていますので、それ以上前のものは課税されないのかと思いますが・・・。

先生:まず、時効というのは何の税金の時効かということを考えてみましょう。まず、亡くなった人の相続税の時効は、相続税の申告期限から7年ですから相続税の時効のことを言っているのではないことはわかりますか?

A子:亡くなった人から 生前に財産をもらうのだから贈与税ですよね。

先生:そのとおりです。お友達の例のように、生前に財産を親族名義に変えた財産に相続税が課税されないとすると、 相続税法の存在意義がなくなるため、その場合には将来の相続税に代えて贈与税が課税され、将来の相続税をカバーしているのです。贈与税は相続税の補完税といわれるのもそのためです。

A子:贈与税の時効も7年ではないのですか?

先生:贈与税も時効は7年ですが、問題は生前に親族等に名義を変更したことは贈与に当たるかどうかです。贈与というのはあげる人ともらう人の契約ですから、一方だけがあげたつもりでも、もらったはずの人が知らなかったり、あげたはずの人が通帳、印鑑などを管理しており、もらったはずの人が自由に処分できない等の状況にあるものは、家族名義(名義は変っているが帰属は前の持ち主)と判断されて相続税の課税対象となるのです。そう判断されると、贈与という行為自体がなかったのですから、時効のカウントはないわけです。

A子:ああそういうことですか。なんとなくわかったような気がします。

先生:それから、贈与された場合には忘れずに贈与税の申告をしておくことも大事ですね。現在はもらう人を基準にして1年に110万円を超える場合には申告と納税が必要です。相続時精算課税の贈与を選択したときは贈与額はいくらであっても申告が必要です。

A子:そういえばお友達もいずれもらえることは知っていたようですが、自分で使えなかったといっていましたから、やむをえないのでしょうか?

先生:お話だけから判断するとそのようですね。やはり失敗しないようにきちんと対策を立てる必要がありますね。

izd03202@nifty.com

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相続時精算課税と節税効果

B子:先生、親から2500万円貰っても税金がかからないそうですが、本当ですか。

先生:平成15年以後、65歳以上の親から20歳以上の子(その子が先に死亡しているときは、20歳以上のその孫)に対する贈与は、相続時精算課税を選択し税務署に届け出た以後の贈与は累積されて、贈与の金額が2500万円に達するまでは課税されません。2500万円を超えると超えた金額に対し一律20%の贈与税が課税されます。親は通常ご両親ですから、双方から貰うと5000万円までは貰った時には課税されないことになります。

B子:貰った時に課税されないというのは、いつか課税されるということですね。

先生:そうですね、名前にも相続時精算課税とあるように、親が死亡したときには、貰った時の価額で相続財産に加算されて相続税が計算されます。そして、贈与された時に支払った贈与税があるときは、算出された相続税額から差し引いて精算します。引ききれないときは還付されます。このように贈与財産を加算した結果、相続財産が相続税の基礎控除を超えるときは相続税が課税されます。ですから、資産家の方々にとっては、贈与のときに課税されないといういうことに過ぎないのです。

B子:そうなんですか!相続税が減るわけではないんですね。

先生:そのとおりです。相続税を減らすという目的でこの贈与を活用するというのは一部の例外を除いて無理ですね。これはあくまでも持ち家や子供の教育などで資金需要の高い子供世代に財産を移して、眠っている資金を消費に回してもらい、景気の回復につなげることに主眼を置いていますからね。

B子:それでもほかの長所や短所もあるのでしょう・・・?

先生:相続財産に加算されても、もともと相続税が課税されないという人にとっては何の迷いもなく活用できます。しかし、この場合には親が自分の老後を自分で見るだけの資金は確保するのが普通ですから無条件にお勧めできるわけではありません。

   贈与財産が相続時までに値上がりする財産、利益を生む財産の場合は、その値上がり益等は子供に帰属するため相続税の節税につながります。

   一方、贈与された財産が相続開始時までに値下がりしたり、無価値になったとしても、贈与時の価額で相続財産に加算されますので、不利になります。従って、何を贈与するかはよく検討しなければなりません。

 又、2500万円を超えるために納付した贈与税は、相続税の先払い的な性格を有しており、相続開始時までの期間は無利子であるため、運用益は得られず、国に供与することになります。

B子:母は私に2500万円くれるという約束になっていましたが、相続税が減らないのであれば取りやめて、主人と3人の子供を含めて5人に500万円づつ贈与してもらったほうがいいでしょうか。

先生:B子さん、いいところに気がつきましたね。相続時精算課税を一旦選択すると、以後その親からの贈与はすべて蓄積される精算課税一本となり、110万円基礎控除の暦年贈与は適用できなくなります。(他の人からの贈与には適用できます。)

 B子さんとお母様の約束が口約束であれば、実行されるまではいつでも取り消すことができますから、暦年贈与にきりかえれば、お母様が3年以内に亡くならない限り、相続財産に加算されることはありません。又、3年以内の贈与が相続財産に加算されるのは、お母様の相続で財産を取得する人だけですから、ご主人やお子様に贈与した分は通常加算されることはありません。

 なお、一人当たり年間110万円以下の贈与には贈与税が課税されませんから、4〜5年かけて無税で贈与する方が最も効果的です。この場合、契約の仕方に注意が必要です。例えば「今後5年間110万円を贈与する」という内容にすると、550万円の贈与を分割で貰うということになり、550万円の70%に評価されて385万円が最初の年に贈与されたものとして課税されます。契約は年毎に110万円の贈与契約をすることが大切です。(契約は必ずしも文書にする必要はなく、口頭契約もあります。)

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相続時精算課税の贈与に適する財産、適さない財産

<適する財産>

(1)贈与のときから相続開始のときまでの間に値上がり見込まれる財産

   相続開始のときの時価が贈与したときの何倍にもなったとしても、相続財産に加算されるのは贈与 したときの価額ですから、値上がり相当部分は相続税の節税になります。

(2)アパートや貸ビルなどの収入を生む財産

  贈与した以後の賃貸収入は贈与された子等に帰属することになり、相続財産をこれ以上増やさない効果があります。

<適さない財産>

(1)将来時価が下落すると見込まれる財産

  相続開始のときまでにどんなに時価が下落していても、あるいは無価値になっていても、贈与時の時価で相続財産に加算されます。

(2)小規模宅地の評価減を適用したい宅地、借地権

  小規模宅地の特例は相続又は遺贈によって取得した財産にのみ適用があり、贈与によって取得した財産には適用がありません。

(3)物納を予定している財産

  相続時精算課税の贈与で取得した財産には物納の適用がありません。

(4)配偶者の税額軽減を受ける予定の財産

  偶者の税額軽減は、被相続人から相続又は遺 贈による財産に限られます。

   

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遺言書の随時見直し

C子:ご近所で会社を経営していたご主人が亡くなられて、相続税の申告も終えられたそうですが、相続人間でトラブラないようにと かなり前から遺言書が遺されていたそうです。ところが、相続税を担当した税理士さんから、「お宅の場合は遺言書がなかった方が良かったのではないか、別な方法を考えてみましょう。」といわれたそうです。そんなことってあるのでしょうか。

先生:そうですね、これは昔気質の人の遺言によくある話です。遺言書は一世一代の大仕事のように考えているため、一度書くと何があっても変更しないといった態度の人が結構あります。そのため、遺言書の作成から相続開始まである程度の期間がある場合には、その間における相続人等の親族関係の変化、税法等の改正、評価方法の改正、物価の変動などがあり、相続開始時の適用環境にマッチしない場合があり、遺言があることによってかえって相続人間にトラブルが発生したり、予想外の税負担となっている場合があります。

C子:具体的にはどのような問題が生じるのでしょうか。

先生:極端な例では、遺言書に記載されている相続人の中に死亡した人がいたり、記載された財産が既に費消済でなくなっていたり、というのもありますが、大きく影響する主なものは、次のようなことがあげられます。

  ①小規模宅地の減額の特例をフルに使えない人や、まったく適用できない人に宅地を相続させている場合

  ②同族会社の株式の評価減の特例を適用できない人に株式を相続させている場合。

  ③子供が先に死亡した場合、その子に対する遺言はその孫に継承されて適用されると思い込んで遺言書の訂正がされないままになっている場合(その部分は無効になり、全員の分割協議の対象財産となります。)

  ④残された配偶者の面倒を見る子が途中で変わっているのに遺言書はそのままで、面倒を見ている人に配慮がない場合

  ⑤地価や株価が大きく変動して、相続人間の取得額のバランスが大きく崩れているばかりではなく、配偶者の税額軽減などの特例がフルに活用できなくなっている場合。

     ⑥貸しビルなどの収益物件を高齢の配偶者のみに相続させているため、次の相続税が高くなってしまう場合。(高額な収益を生む財産は、できれば1人で相続しない方がよい。)など。

C子:遺言を書く場合どんなことに注意すればいいでしょうか。

先生:相続税の申告に関しては、遺言書の内容と異なった財産の分け方をすることができる場合もありますが、その場合には相続人全員の合意が必要であり、合意がないときは遺言書に従って分けることになるでしょう。また相続人以外の受遺者がいる場合には、難しい場合が多いようです。

  結論としては、遺言者を書いたことによって安心し、そのまま放置するのではなく、時折見直して必要があれば書き直すという軽い気持ちでいることが必要です。できれば税理士の意見も取り入れてお書きになることをお勧めします。相続人等に円満に相続させ、かつ、税金の負担も可能な限り少なくする方法があれば、それに沿った内容にすることでしょう。

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小規模宅地の課税価格の計算の特例

<制度のあらまし>

  被相続人が所有していた宅地(借地権を含みます)で、被相続人、又は、被相続人と生計を一にしていた親族の事業用や居住用の宅地は、原則として200㎡まで50%減額されます。(この特例は申告期限までに遺産分割済みの宅地に限られますが、一定の手続きをすれば申告期限から3年以内に分割が行われた場合にも適用されます。

 一定の要件を満たす宅地のことを「特定事業用宅地」、「特定居住用宅地」といいますが、これらの特定宅地に該当するときは、適用面積と減額割合は次のとおり拡大されます。

  • 特定事業用宅地・・・400㎡  減額割合80%
  • 特定居住用宅地・・・240㎡  減額割合80% 

<小規模宅地の適用限度面積>

   特定事業用宅地を「A」、特定居住用宅地を「B」、その他の対象宅地を「C」とすると、複数種類の宅地に適用するときの、適用限度面積は次のとおりとなります。

 A+B×5/3+C×2≦400㎡

<特定事業用宅地の要件>

  1. 相続した人が相続税の申告期限までに事業を承継し、かつ、保有していること。 
  2. 前期「1」の人と共に取得費した人にも適用があります。

<特定同族会社の事業用宅地の要件>

 (1)会社の要件

  • 会社の業務が不動産賃貸業でないこと。
  • 被相続人及びその親族その他被相続人と特別な関係にある者で株式等の50%超を保有していること。(議決権に制限のある株式を除きます)

(2)相続で取得した人は、相続税の申告期限までに役員になっており、かつ当該法人の事業用宅地として保有していること。

(3)前記「(2)」の人と共に取得した人にも適用があります。

(注)事業用宅地の留意点:貸地、アパートの敷地等の不動産賃貸業用宅地は、個人用、法人用を問わず、すべて宅地の減額割合は50%、適用面積は200㎡が限度となります。

<特定居住用宅地の要件等>

  1. 配偶者が相続した場合。(無条件に適用されます)
  2. 被相続人と同居の親族が取得し、申告期限まで引き続き居住し保有している場合 
  3. 被相続人に配偶者がなく、同居の法定相続人もない場合で、相続開始前3年以内に自己又は配偶者の所有家屋に住んだことがない日本国籍を有する親族が取得し、申告期限まで保有している場合。 
  4. 被相続人と生計を一にしていた親族の居住用敷地で、その居住者が取得し、申告期限まで引続き居住し、保有している場合

(注)以上は第一次的に判断するための要件等であり、すべての要件を完全に網羅しているものではありませんので、実際に適用されるときは、メール等でお尋ねください。

           

  

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譲渡所得の基礎

1.譲渡とは

  譲渡とは、有償無償を問わず資産の権利(所有権等)を移転させるすべての行為を言います。従って、売買のほか次の行為も含まれます。

  • 交換 (等価で一定の要件を満たす場合は課税されません。)
  • 競売や公売
  • 収用 (代替資産の取得や5000万円控除の特例があります。)
  • 物納 (非課税)
  • 法人への現物出資
  • 代物弁済 (お金に代えて物で支払う場合は、その物を売却して得た対価で支払ったものと考えられます。)
  • 離婚に伴う財産分与 (金銭以外で支払う場合で、居住用不動産の場合は、3000万円控除などの特例が適用できる場合があります。)
  • 相続における代償分割 (分割して相続できない財産を取得した相続人から、他の相続人へ、自分の財産を相続財産の代わりに渡す遺産の分割方法。)
  • 負担付贈与 (借金等とともに財産を贈与する場合、原則として負担額で売却したものとされます。)
  • 土地に対する権利の設定 (設定の対価が土地等の時価の1/2を超える場合。)

 ◎みなし譲渡 (次の場合、時価により譲渡したものとみなされます。)

  • 法人に対する時価の1/2未満の譲渡
  • 法人に対する贈与・遺贈
  • 限定承認による相続 (被相続人の譲渡所得として課税されます。) 

2.非課税の譲渡

  次の譲渡は非課税とされます。

  • 生活に通常必要な資産の譲渡 (但し、1個又は1組の価額が30万円超の貴石、貴金属、書画骨董等は課税されます。)
  • 資力喪失したことによる強制換価手続きによる譲渡。
  • 国等への寄付、物納、公益法人等に寄付した財産で国税庁長官の承認を得たもの。
  • 公社債の譲渡 (特定の割引債券を除きます。)

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譲渡所得の計算

1.譲渡所得の構成

  譲渡所得=収入金額ー取得費ー譲渡費用 ー(特別控除額)

  (1)収入金額

    ①通常は売買契約による収入すべき金額

    ②交換や現物出資等による譲渡で、金銭以外の物や権利等で受け取る場合は、その受け取った物や権利の時価が収入金額となります。なお、固定資産税を日割りで精算しているときの精算金は譲渡の収入金額になります。

   (2)収入の計上すべき日 (譲渡の日)

     ①原則=資産を引き渡した日

     ②例外=売買契約成立の日を選択することもできます。

  (3)取得費 (次の①と②から選択)

    ①購入費+設備費・改良費+(非事業用資産の場合の不動産取得税・登録免許税)

     ②譲渡価額×5%

    (4)譲渡費用

    仲介手数料、立退料、測量費、印紙代、交通費等の雑費など  

   (5)特別控除額 (短期・長期ともに適用) 

     次の順序で控除し5000万円に達したところで打ち切りとなります。

     但し、買換えの特例や収用の代替資産の取得を選択したときは、特別控除の適用はできません。

     ①収用交換等の譲渡・・・・・・5000万円

     ②居住用財産の譲渡・・・・・・3000万円

       ③特定土地区画整理事業・・2000万円

     ④特定住宅地造成事業・・・・1500万円

     ⑤農地保有合理化事業・・・・・800万円

  (6)総合課税の譲渡の特別控除

    土地建物等、株式等以外の資産を譲渡した場合は、50万円が控除されます。

  

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総合課税の譲渡

1.短期と長期の区分 (5年<所有期間が長期)

  分離課税の譲渡の場合は、取得の日から譲渡した年の1月1日における所有期間で判定しますが、総合課税の場合の所有期間は取得の日から譲渡の日までの期間で判定します。

(1)長期譲渡の場合

  譲渡所得の1/2が他の所得と総合して課税されます。

(2)短期譲渡の場合

  譲渡所得金額がそのまま他の所得と総合されて課税されます。

2.総合課税の対象となる主な資産の例示

   ゴルフ会員権・金・貴石・書画骨董・機械装置・車両・船舶、器具備品・漁業権・土石・砂利・著作権・家畜(販売目的のものを除く)・果樹など

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分離課税譲渡の態様と税率

1.一般の譲渡

   (1)長期譲渡 (譲渡の年の1月1日現在で5年超所有)

     一律 20% (所得税 15%+住民税 5%)

    (2)短期譲渡

           39% (所得税 30%+住民税 9%)

2.優良住宅地の長期特定譲渡(国等・収用等の譲渡)

   ①2000万円以下の部分

     14% (所得税 10%+住民税 4%)

       ②2000万円超の部分

     20% (所得税 15%+住民税 5%)

         但し、特別控除、買換え、代替資産の取得の特例 を適用した  ときは、この軽減税率は適用できません。

3.居住用資産の軽課税率(土地建物共所有期間10年超)

   ①6000万円以下の部分

     14% (所得税 10%+住民税 4%)

   ②6000万円超の部分

     20% (所得税 15%+住民税 5%)

4.短期軽減税率 (国等・公社等・収用等)

   20%(所得税 15%+住民税 i5%)

      

    

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居住用資産を譲渡した場合の3000万円控除

 居住用土地等建物を譲渡したときは、譲渡益から3000万円控除する特例と、買換えた土地建物の取得価額までの金額については、譲渡がなかったものとして、課税を繰り延べる特例、の2つの特例があります。

<居住用譲渡資産の基本的な要件>

 1.生活の本拠として居住する建物、及び建物と共に譲渡するその敷地であること。

 2.現に居住する土地建物、又は住まなくなってから3年を経過する年の12月31日までの譲渡であること。ただし、建物を取り壊したときは、取り壊し後1年以内の譲渡であり、かつ、譲渡までの間、駐車場等の他の用途に供していないこと。(建物を取り壊さないときは譲渡までの用途は問いません。)

 3.居住用財産の所在地は国内にあることが要件ですが、3000万円の特別控除に限っては、その所在地を問いません。

 4.譲渡先が、配偶者、直系血族、特定同族法人等の特定の関係者に対するものでないこと。

 5.転勤等により所有者が住まなくなっているときは、生計を一にする親族が引き続き住んでいること。

 6.災害等により滅失した家屋の敷地の場合は、居住の用に供さなくなってから3年を経過する年の12月31日までに譲渡したものであること。

 7、前年、前々年において、この特例、居住用財産の買換え・交換の特例の適用を受けていないこと。

<居住用財産の軽減税率の特例>

  上記の基本的な要件を満たし、かつ、譲渡する年の1月1日において土地等・建物共所有期間が10年超の場合は、税率は次のとおり軽減されます。

 <軽減税率>

   3000万円の特別控除後の金額について次の税率が適用されます。

  • 6000万円以下の部分 14% (所得税10+住民税4)
  • 6000万円超の部分   20% (所得税15+住民税5)

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特定居住用財産の買換え

 前記の居住用資産の譲渡に対する3000万円の特別控除をしても なお譲渡益が残る場合には、買換えの特例の方が有利な場合があります。

<譲渡資産の要件>

  前項3000万円の特別控除に記載した「居住要資産の基本的な要件」のほかに、次の要件を満たすことが必要です。

 1.国内にある居住用資産であること。

 2.譲渡する年の1月1日において、土地建物共所有期間が10年超であること。なお、災害により家屋が滅失したときは、引き続き所有していたとすれば10年超となる場合で、災害の日から3年を経過する年の12月31日までの譲渡であること。

 3.居住期間が10年超であること。

 4.その譲渡資産について、他の特例の適用を受けていないこと。(他の居住用の特例、収用、交換等の特例など)

 5.その譲渡は、贈与、交換、現物出資、代物弁済によるものでないこと。

<買換え取得資産の要件>

 1.国内にある資産であること。

 2.建物は50㎡以上280㎡以下(平成19年4月1日以後の譲渡からこの要件廃止)、土地は500㎡以下であること。

 3.取得した翌年の12月31日までに居住の用に供すること。

 4.既存住宅の取得のときは、耐火建物の場合は建築後25年以内のものであること。(一定の耐震構造を有するものを除きます。)

 5.譲渡の年の前年、当年、翌年中に取得すること。

 6.その取得が贈与、交換、代物弁済によるものでないこと。

<譲渡所得金額の計算>

 1.譲渡価額 ≦ 買換え取得資産の価額 の場合

     譲渡はなかったものとして課税されませんが、申告は必要です。

 2.譲渡価額 > 買換え取得資産の価額 の場合

  (1)譲渡収入金額=譲渡価額-買換え取得資産の価額

  (2)必要経費=(譲渡資産の取得費+譲渡費用)×(1)/譲渡価額

  (3)譲渡所得=(1)-(2)  (特別控除の適用はできません。)

<取得価額の引継ぎ>

 1.買換え取得資産の考え方

    買換え取得資産の金額までは譲渡がなかったものとして、今回は課 税されませんが、取得した資産は譲渡した資産の取得費を引き継ぐことになりますので、減価償却の基になる金額や、次回譲渡したときに控除する取得費の金額は小さくなります。

 2.買換え取得資産の取得費

 (1)譲渡価額 ≧ 買換え取得資産の価額 の場合

   (譲渡資産の取得費+譲渡費用)×買換取得資産価額÷譲渡価額

   (2)譲渡価額 < 買換え取得資産の価額 の場合

   譲渡資産の取得費+譲渡費用+(買換資産取得価額-譲渡価額) 

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