B子:先生、親から2500万円貰っても税金がかからないそうですが、本当ですか。
先生:平成15年以後、65歳以上の親から20歳以上の子(その子が先に死亡しているときは、20歳以上のその孫)に対する贈与は、相続時精算課税を選択し税務署に届け出た以後の贈与は累積されて、贈与の金額が2500万円に達するまでは課税されません。2500万円を超えると超えた金額に対し一律20%の贈与税が課税されます。親は通常ご両親ですから、双方から貰うと5000万円までは貰った時には課税されないことになります。
B子:貰った時に課税されないというのは、いつか課税されるということですね。
先生:そうですね、名前にも相続時精算課税とあるように、親が死亡したときには、貰った時の価額で相続財産に加算されて相続税が計算されます。そして、贈与された時に支払った贈与税があるときは、算出された相続税額から差し引いて精算します。引ききれないときは還付されます。このように贈与財産を加算した結果、相続財産が相続税の基礎控除を超えるときは相続税が課税されます。ですから、資産家の方々にとっては、贈与のときに課税されないといういうことに過ぎないのです。
B子:そうなんですか!相続税が減るわけではないんですね。
先生:そのとおりです。相続税を減らすという目的でこの贈与を活用するというのは一部の例外を除いて無理ですね。これはあくまでも持ち家や子供の教育などで資金需要の高い子供世代に財産を移して、眠っている資金を消費に回してもらい、景気の回復につなげることに主眼を置いていますからね。
B子:それでもほかの長所や短所もあるのでしょう・・・?
先生:相続財産に加算されても、もともと相続税が課税されないという人にとっては何の迷いもなく活用できます。しかし、この場合には親が自分の老後を自分で見るだけの資金は確保するのが普通ですから無条件にお勧めできるわけではありません。
贈与財産が相続時までに値上がりする財産、利益を生む財産の場合は、その値上がり益等は子供に帰属するため相続税の節税につながります。
一方、贈与された財産が相続開始時までに値下がりしたり、無価値になったとしても、贈与時の価額で相続財産に加算されますので、不利になります。従って、何を贈与するかはよく検討しなければなりません。
又、2500万円を超えるために納付した贈与税は、相続税の先払い的な性格を有しており、相続開始時までの期間は無利子であるため、運用益は得られず、国に供与することになります。
B子:母は私に2500万円くれるという約束になっていましたが、相続税が減らないのであれば取りやめて、主人と3人の子供を含めて5人に500万円づつ贈与してもらったほうがいいでしょうか。
先生:B子さん、いいところに気がつきましたね。相続時精算課税を一旦選択すると、以後その親からの贈与はすべて蓄積される精算課税一本となり、110万円基礎控除の暦年贈与は適用できなくなります。(他の人からの贈与には適用できます。)
B子さんとお母様の約束が口約束であれば、実行されるまではいつでも取り消すことができますから、暦年贈与にきりかえれば、お母様が3年以内に亡くならない限り、相続財産に加算されることはありません。又、3年以内の贈与が相続財産に加算されるのは、お母様の相続で財産を取得する人だけですから、ご主人やお子様に贈与した分は通常加算されることはありません。
なお、一人当たり年間110万円以下の贈与には贈与税が課税されませんから、4〜5年かけて無税で贈与する方が最も効果的です。この場合、契約の仕方に注意が必要です。例えば「今後5年間110万円を贈与する」という内容にすると、550万円の贈与を分割で貰うということになり、550万円の70%に評価されて385万円が最初の年に贈与されたものとして課税されます。契約は年毎に110万円の贈与契約をすることが大切です。(契約は必ずしも文書にする必要はなく、口頭契約もあります。)
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